先日、新規開業医を対象にした「集団指導」というものに参加してきました。
千葉県のドクターがざっと100名ほど。こんなにたくさんの先生が1年間に開業しているのは驚きました。
「集団指導」というのは、保険診療を行う開業医が、守るべきルール、しくみについて講習会形式で行われるものです。
そんな中で、講習会の先生方がもっとも強調されていた項目のうちのひとつが
「無診察治療(処方)の禁止」
これは「医師法」という法律で定められています。
医師法第20条
医師は、自ら診療しないで治療をし、もしくは診断書、処方箋を交付してはならない(抜粋)
とあります。
つまり、診療をせずに「薬だけを処方」することは違法行為なのです。
違反すると、罰せられたり、保険医を取り消されたり、医師免許をはく奪される可能性もあるそうです。
怖いです・・・
医師であれば誰でも知っているはずのこのルールに対して
なぜか、ちまたでは昔から「無診察処方」が行われています。
診察なしで薬だけ処方を受けた経験がある方も多いと思うのですが、
このことが違法行為だということはあまり知られていないように思います。
(皮膚科に限らず、何科であっても違法です)
最近、受付や診察室で
「診察はいらないので薬だけください」とか
「次は薬だけでいいですか」
などと聞かれることがありますが、
当然ながら当院では無診察処方は一切行っておりません。
(くどいようですが、違法ですので・・・)
たしかに、蕁麻疹の患者さんなどで、ずっと同じ薬を内服されていて「とくに変わりないので、薬だけでいい」という気持ちもわかります。
しかし決まりごとなので、診察室に入っていただき、その「かわらない」症状をお話ししていただくことになります。
例外として、患者さんの事情で、どうしても来院が難しい場合、家族の代理受診は認めています。
(H22 年の診療報酬改定で、医師が患者家族と対面し、病状を聞いた上での処方箋の発行は認められている)
ただし、患者さんの家族であっても、通常通り受付をし、順番を待って診察室に入っていただく必要があります。
当院の「代理受診」は以下の場合に限定しています。
① 患者さんが「初診」でないこと。最後に受診してから3か月以内であること。
② 代理受診は2回までは可能だが3回目は患者さんご本人が受診すること。
(3回に1回は本人受診が必要です)
またこの条件に当てはまる場合でも、病状や薬の内容によってはご本人の受診をお願いしています。
なお必ず医師の診察が必要なのは「保険診療」の場合です。
「保険外(自由)診療」である自費の処方や化粧品の購入などはあてはまりません。