ブログ|習志野市の奏の杜すずらん皮膚科|津田沼駅南口徒歩8分

遅延性フードアレルギー検査について 

今朝何気なくテレビを見ていたら

朝の情報番組で、「遅延性フードアレルギー検査」についてやっていました。

94項目にわたる食品のアレルギー検査(IgG抗体の有無)を調べることで

肥満が治る!痩せられる!

といったセンセーショナルな内容。

 

なんでもとあるA子さんは、こちらの検査で遅延性アレルギーの検査を行い

「しょうが」と「昆布」のアレルギーが分かり(たしか)

これらの食品を制限することで、なんと15㎏のダイエットに成功したとか。

 

こちらの真偽はわかりませんが、これが本当ならぜひやってみたい✨

わたしにも何か隠れアレルギーがあるのかも!!

・・・と思っちゃいますよね。

 

 

ちなみに

一般的な「食物アレルギー」というと

食べてすぐに症状が現れる「即時型アレルギー」のことを指し

「IgE抗体」を測定して検査をすることができます。

しかしアレルギーの有無は

あくまでも臨床症状(食品を食べてどういう反応がでるのか)と検査の結果を合わせ

総合的に判断するものであって、絶対ではありません。

検査は「参考程度」ですね。

 

何の問題もなく食べているものでも、検査で陽性になる場合もよくありますし

また食べると明らかに蕁麻疹などの皮膚症状を起こすのに、検査をすると陰性ということもあります。

一番重要なのは、「何」を食べた時に、「どうなった」か、というエピソードです。

食物アレルギーに最も有用なのは

その食べ物とおきた症状を詳細に聴取する(問診)

ということになります。

血液検査さえすればアレルギーの有無がわかると簡単に考えるのは正しくありません。
小児で離乳食で摂取するにあたり、アレルギーが心配なので検査してほしい
と言われることがありますが意味がありません。

 

前置きが長くなりました。。

 

テレビの内容によると

今回のアレルギーは

「遅延型アレルギー」で「IgG抗体」が関与

食品を摂取しても表立って症状は現れないため、気が付きにくい。

そして肥満やそのほか様々な健康障害をおこすことがあるとか。

(テレビを見ながら疑いの目をむけるうたぐり深い私・・・)

しかも、例として検査結果の用紙が画面に映し出されると

ほとんどすべての食品で陽性のグラフとなっている!!

え~っ、これじゃあ何も食べられるものないじゃん!!

とテレビに突っ込みを入れてしまいました💦

 

「遅発性」アレルギーと言えば

「納豆アレルギー」(食べてから半日ほどたってからアレルギー症状が現れる)

のことだと思っていたので

「遅延性アレルギー」について以前初めて聞いたときは

「ふうーん、納豆以外にもあるのか・・・」

と思い、調べてみると

「遅延性IgGアレルギー検査」は日本でも海外でも

エビデンスらしいものはありません。

 

米国や欧州のアレルギー学会も

「遅延性IgGアレルギー検査」の診断的有用性を公式に否定しています。

 

さらに「日本アレルギー学会」や「日本小児アレルギー学会」でも

こちらの検査を「推奨しない」として注意喚起しています。

http://www.jsaweb.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=51

http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=91

 

食物のIgG抗体は正常な人でも陽性になることがよくあり、

またよく摂取する食品ではIgG抗体が高値になりやすいとのこと。

だとすれば、一般的なアレルギー検査で扱うIgE抗体とは異なり

IgG検査は「参考」にすらなりません。

(IgE抗体が参考程度ですからね)

 

ちなみに通常のアレルギー検査(IgE検査)が保険適用になるのに対し

遅延性アレルギー検査(IgG検査)は自費で3~5万円と高額です。

また最近は自宅で採血する専用キット、もあって

ネットで簡単に検査を申し込むこともできるようです。

 

テレビで全国的に放送することの影響力は大きく

高い検査費用を払ったとしても

この検査を1回するだけで「痩せられる」とか

「アトピーがおさまる」「体調がよくなる」のならばと

この検査を希望される人がたくさんいるのではないかな

と心配になりました。

 

成人はともかくとして

アトピーに悩む子供たちが、この検査をした結果、

たくさんの食品について

食事制限をするようなことがあってはならないと思います。

成長期に大事な栄養素を控えるようになり、

成長障害や健康障害がおこることも考えられます。

 

もちろん検査の内容を十分理解した上で

大人が自分の責任で行うのなら何も問題はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

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