院長です。
このたび経口ニキビ治療薬のイソトレチノインの取扱いを開始しました。
イソトレチノインは、海外では40年以上の歴史があり、ニキビ治療の第一選択薬となっています。
現在の保険の治療薬で効果が不十分な、重度の炎症性ニキビの場合でも高い効果が期待でき、再発しにくいというメリットがあります。
イソトレチノインは皮脂腺そのものを小さくし、皮脂の分泌量を減らします。また皮膚のターンオーバーを促進させ、毛穴のつまりを改善する効果もあります。
近年ピーリング作用のあるニキビ治療薬(BPO製剤)の出現により、ニキビの治療が容易になりました。しかし、これらの治療では、せっかく良くなっても薬をやめると再発してしまうことが多く、長期にわたり治療を続ける必要があります。
一方、イソトレチノインを一定期間内服した場合、70%〜80%の患者さんが再発することなく完治すると報告されています。
イソトレチノインが効果が非常に高くて再発しにくい、優れた内服薬であることは明白なのですが、これまで当院では取扱っていませんでした。
その理由は副作用です。
イソトレチノインは妊娠中に内服すると催奇形性(胎児に奇形のリスク)がある薬です。
そのため内服中は絶対に妊娠しないようにしなければならないのですが、10代や20代の若い患者さんにそのようなリスクのある薬を処方することに葛藤がありました。
ただ日々の診療の中で、薬が効きにくい患者さんに対する治療の選択肢を増やしたい、ニキビあとを残してしまうケースを少しでも減らしたいと考え、導入に踏み切ることにしました。
既存の治療をしていても効果不十分な方、ニキビ跡を残したくない方、保険のニキビ外用剤が合わない方などに適応があると考えています。
現時点でイソトレチノインは厚生労働省の認可がありていない薬ですので、自費診療になります。
若い患者さんにも続けやすいよう、価格設定をしています。
イソトレチンインの処方には血液検査が必要です。初診時での処方はできません。